カスタムヘリテイジ912

この万年筆はペン先ありきで買った万年筆です。そのペン先とはパイロットの特殊ペン先のフォルカンです。

フォルカンはカスタムシリーズの一番安いモデルであるカスタム74やカスタムヘリテイジ91では選択できないペン先です。なので必然的に上位モデルになるのですがペン先の色やペンのデザインでフォルカンのペン先にあっていると個人的に思った物がカスタムヘリテイジ912でした。

書いていて楽しい万年筆ですが反面長時間ハードに使うのには向かないかもしれません。

スポンサーリンク



メーカー

日本の文豪具メーカーパイロットです。僕が一番好きな日本の万年筆ブランドですね。

外見

カスタムシリーズと異なり両端が角ばっているデザインでエス。またパイロットのカスタムシリーズの特徴のクリップ先の球体がついていません。

そしてカスタムヘリテイジシリーズはカスタムシリーズが金色がメインなのに対して銀色がメインです。もちろん他の種類のペン先も銀色になっていますが色が変わるだけで見た感じのイメージが結構変わります。

コンバーター

コンバーター

パイロットのカスタムシリーズやカスタムヘリテイジシリーズの二万円以上のモデルには買った時点でパイロットのコンバーターであるCON-70が付属しています。他の一般的なコンバーターが回転させることで吸い上げるのに対してボタンを押すだけで吸引できインクの吸入量も多いのでかなり優秀なコンバーターです。

このコンバーターの欠点を上げるとすればコンバーターを使って万年筆の清掃をするとき水の吸引吐き出しという動作が回転式に対してやりにくいことぐらいだと思います。

コンバーターをつかわないでカートリッジインクを使う場合使える色が限られてしまうので万年筆の魅力にはまってくるともっぱらコンバーターをつかうようになってきます。ちなみに僕はこの万年筆にはパイロットの色彩雫シリーズの孔雀を入れています。

大きさ

大きさ比較
上からカスタム74,カスタムヘリテイジ912,ペリカンスーベレーンM600 です。

パイロットの万年筆は基本的に値段が高くなるにつれてだんだんと大きくなっていきますがカスタムヘリテイジは両端が角ばっている分カスタム74と比較すると同じか若干短いくらいです。

ただ軸の太さはカスタム74より太くなっているので個人的には書きやすくて好きです。カスタム74も比較的安価なのに全体的に高性能で好きなのですが個人的に少し細く感じるところが欠点だと思うので太いのはうれしいですね。

大きさキャップ
キャップを外した状態の比較です。こちらも三本ともほとんど変わりません。しいて言えば一番カスタムヘリテイジが短いかなといった感じです。

ペン先のデザイン

フォルカン
まさに万年筆といったデザインのペン先です。他のパイロットのペン先と違って模様の掘り込みといった装飾が一切ない簡素なデザインです。

このデザインを見た時にカスタムシリーズの金色よりもカスタムヘリテイジの銀色の方が合うと思ったのがカスタムヘリテイジを選んだ理由です。書いているとペン先が軽く開くのがわかってとても面白いペン先ですよ。

個人的にはペンのデザインといいペン先の色といいフォルカンにはベストな選択だったと思っています。大きさも10号ニブぐらいが自分には合っています。

ペン先の大きさ比較

ペン先大きさ
左からパイロットのカスタム743 カスタムヘリテイジ912 カスタム74です。左からパイロットの15号 10号 5号ですね。

見てわかるようにペン先の大きさに若干の差があります。ペン先の大きさは書き味にも影響するのですがペン先の種類や書き手によってどの大きさが書きやすいかが変わってくるので一概にどの大きさがいいとは言えません。

個人的な好みとしては太字になればなるほど大きなペン先が書きやすいです。ちなみにペン先の種類は左からSFM FA SMです。

一番小さなペン先でSMを選択していますが書き味に不満を感じたことは無いので気分の問題かもしれません。

書き味

書き味
適当に書いてみました。紙はいつも通りロディアです。

下側はフォルカンとパイロットキャップレスのF、カスタム743のSMの太さの比較です。すべて特に筆圧に意識せずに書いたらこんな感じになりました。

これらのペン先はすべて柔らかめのペン先なので筆圧をかければもっと太くなります。

強弱を楽しむ
フォルカンは筆圧に応じてペン先が柔らかく開くので無意識の筆圧の変化でも結構な濃淡が出ます。画像はさっきの紙の上の部分を拡大したものです。

強の字は意図的に筆圧を強めに書き、弱の字は弱めに書きました。(もちろんペン先が壊れない普通の範囲内ですよ)それだけでもこれだけの太さの差が出ます。

また上の字を見ればわかるように無意識の筆圧の変化でインクの濃淡が出てインクの色の変化がわかると思います。カメラが古い安いものなので色の変化を撮りきれていませんがインクのキレイな濃淡が出ています。

フォルカンはこのようにインクの濃淡が楽しめるのでこのような濃淡が字に表れやすいインクを使った方がいいと思います。

注意点

とても柔らかい書き味の万年筆ですが柔らかい分強い筆圧には弱いです。Amazonのレビューを見ているとかすれたといった感想を書いている人が多いですがインクフローはむしろかなりいい部類だと思います。

かすれがひどいや書けなくなったと書いている人もいますがそれは強い筆圧で使い続けた結果ペン先が開いてしまってもとに戻らなくなっているので真ん中にインクが来ないからかすれるのです。

毛筆のような書き味を売りにしていますがペン先は筆のような毛ではなく14金、つまり金属です。金属を強い力で何度も曲げると開いたまま固定化されるのもわかると思います。強弱が付けられるからと言ってがりがりやって喜んでいると開いて戻らなくなります。

あくまで弱い筆圧の範囲内で無意識の筆圧の変化を楽しむための万年筆です。

万年筆が初めての人や使い始めの筆圧が強い人が下手にこのペン先を選んでしまうと瞬く間にペン先を壊してしまうと思うので初めのころはやめておいた方がいいです。ペン先の強弱を楽しむだけならカスタム74のSMでも十分変化を楽しめますよ。

こちらもフォルカンほどではないですが強い筆圧には弱いです。

万年筆を使っているとどんどん自分の筆圧が弱くなっていくのを感じます。昔はシャープペンシルでノートを使って勉強するときは下敷きが無いと凸凹になっていたのが今では下敷きなしでもさほど凸凹になりません。またたまに試験などでシャープペンシルしか使えないときは自分の字が薄くなったのを実感します。

不満点

特にないです。書いていてとても楽しい万年筆ですし筆圧をかけなければ細字なので細かいメモを取るときにも使えます。

ただ高速でメモを取ったり計算をしたりするときの殴り書きには向いていません。ペン先が柔らかいのでぐりぐり書くのには向いていません。

そんな一般的な用途には特殊ペン先ではない普通のペン先を選んだ方がいいです。あくまで趣味用の万年筆で普段から持ち歩いてガンガン使う実用的な万年筆として使うのにはあまり向かないかなといったところです。

ちょっとした手紙を書いたりと各文字数が少ないときや落ち着いてゆったりと書くようなときにはとても会います。

購入先

いつも通りAmazonです。僕は今のところ日本製の万年筆はすべてAmazonで買っています。

理由は簡単でだいぶと安く買えるからですね。ただフォルカンは楽しい反面筆圧が強い人には使いこなせない気難しい万年筆なので衝動買いせず特性と自分の筆圧をしっかりと理解したうえで購入してくださいね。筆圧が強い自覚のある人はやめておいて他の万年筆にした方がいいと思います。

普段からできるだけ万年筆を使うようにしていると自然と筆圧が落ちてくるのでそれからでも遅くはないですよ。

スポンサーリンク